(15)女体の匂いが鼻先をくすぐる
かげろうは重三郎にすり寄ると袖を引いた。
「立ち話もナンだし。よかったらウチへくるかい?」
白粉だけでなく煮詰めたような女体の匂いが鼻先をくすぐる。その鼻のすぐ下にお上臈の濡れた双眸。重三郎は育ち盛りの十四歳、背丈は柱に刻んだ去年の傷を追い越している。もう、母より…
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