(18)濃醇な女の匂いがたちのぼる
母の実家を訪ねた重三郎を、近所の女房たちが取り囲む。太った女が険しかった表情を改めた。
「娘さんが戻ってすぐ、あたふたと越していったよ」
煮売り屋の奥からも、こめかみに小っちゃな膏薬を貼った老婆が出てきた。
「お隣のお孫さんかい。ずいぶん大きくなったね」
…
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