(19)お上臈の唇の感触が生々しい
重三郎は、さえない色を浮かべて歩を進めている。手には、さっき貸本屋から仕込んだばかりの戯作。
貸本屋がこなかったら、あのまま──。お上臈の唇の感触が生々しい。もう一度、かげろうを訪ねたいような、気恥ずかしいような、ちょっと恐いような。意を決したとしても、逢った時はどんな…
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