(21)軒先に吊られた浮世絵が揺れる
〈第2章〉 吉原の本屋
重三郎は懐かしい絵を手にした。羽の生えた禍々しい化け物が飛び回っている。
「ダメだ、こりゃ」
重三郎は赤面した。耳の奥で義兄の大笑いが響く。
「こうもりの風流踊りか?」
あれは五年前のこと、十四歳だった重三郎は絵師を…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,298文字/全文1,438文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】