(24)与八の声が急に温かいものに
重三郎は湯飲みを手にした。
茶はすっかり冷めてしまっている。だが、興奮のあまり声を振り絞った喉にはうまく感じられた。
大手書肆の若主人、西村屋与八は渋々、重三郎の習作に眼を通している。
重三郎は与八を窺う。本屋は眉を顰め、鼻をひくつかせ、口の端を上げたり…
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