(29)小柴は何れ菖蒲か杜若
へえーっ。重三郎は声をあげた。それに驚いたかのようにコロリ、コロコロ、焼筆が転がる。
「重政親分が本屋の息子だなんて知りませんでした」
「別に吹聴するようなこっちゃねえよ」
縁は異なもの味なもの、世の中には不思議な糸が張り巡らされている。その糸に導かれ、運命…
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