(30)紋様は富士山形に蔦の葉に
絵師の北尾重政は頑丈そうな顎を撫でる。青髭がジャリジャリと音をたてた。
「貸本屋風情なんて思ってたらとても務まらねえ」
何より戯作の目利きでなきゃならない。つまらぬ本を担いで回っても商売にならない。お愛想だって必要。身体も丈夫が肝心。
重三郎は即答する。
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