(54)花見が一段落したら夫婦になろう
蔦屋重三郎と花魁小紫、ふたりの仲を、道ならぬ恋と咎め立てる吉原の者は案外と少なかった。
叔父の利兵衛は泰然にして自若の態でいう。
「入れ揚げた男が公金を持ち出したり、女だって足抜けしたんじゃないんだから。心から惚れ合った誠の恋だよ。そいつを、とやかくいうのは野暮っ…
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