(94)とせは素早く歌麿の襟をとり
とせは帳簿をつけ終わり、軽く伸びをする。
「戯作と狂歌、両輪が廻って千客万来、商売繁盛」
今夜も夫は酒宴、狂歌を集めたり、戯家の同士と次作の案を練ったりしている。
ふと背後に気配、行燈のあかりに伸びる影。痩身長躯の男が佇んでいた。
「あら、うたまるさ…
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