(96)田沼意知が城内で刃を向けられ
蔦重が障子を引くと、喜三二と春町がこちらを物憂げにみた。両人の前には空になった膳が二客、ぽつんという感じで残っている。少し開けた窓から、六月のねっとりした風が忍び込む。
今夜、吉原の引手茶屋「駿河屋」では江戸留守居役、諸藩の外交官が十人も集まって鳩首会談を催していた。
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