<第12回>「あの頃は一生懸命だった。ただ懸命に芝居をしていた」
高倉健が主役ではないため、「高倉健映画ベスト10」などでも漏れてしまう作品である。しかし、作品としての完成度は高い。見ておくべき一本だ。
高倉健は内田監督に抜擢され、「森と湖のまつり」で演技に目覚め、その後も同監督の「宮本武蔵」シリーズで鍛えられた。「飢餓海峡」では内田監督と息が合ってきて、リラックスしながら演技を考えている彼の姿を見ることができる。
▽のじ・つねよし 1957年生まれ。美術展のプロデューサーを経て作家活動へ。「サービスの天才たち」(新潮新書)、「イベリコ豚を買いに」(小学館)など著書多数。最新刊は「アジア古寺巡礼」(静山社)。「高倉健インタヴューズ」(プレジデント社)が話題に。