菅田将暉 かつての「8・15シリーズ」大役級を軽やかに好演
戦争を題材にすると、俳優陣にはやけに力が入る。怒鳴りちらし、全身を震わすような演技で押しまくってくる。戦場が舞台であるなら、それも理解できる。正常な感覚ではいられなくなるからだ。ただ、今回のように戦場を舞台にしない作品なら、正常さを持つ人間の冷静な姿こそが望まれる。
菅田の演技には、それがあった。国家や国民が冷静さを失ったとき、戦争は露出してくる。菅田が演じたような若者が何人も、いや何百人、何千人もいるような日本であってほしいと思えるような作品であった。