「レイルウェイ 運命の旅路」拷問を描いた“反日”映画か?
興味深いのが「反日」だ。泰緬鉄道と英国人捕虜といえば、大作「戦場にかける橋」(57年)がある。場所は違うが「戦場のメリークリスマス」(83年)も英国人が捕虜だった。前者では英国人の大佐が痛めつけられて炎天下の独房に監禁され、後者は少佐が殺害されるが、公開時に「反日」の声は起きなかった。
だが今はネットで本作を検索すると「反日」の文字が表示され、映画サイトなどには「GHQが日本人を洗脳した自虐史観だ」「何十年も経ったのにまだ恨んでるの?」「上映を中止しろ」と書き込まれている。
本作は人間の「寛容」を描いた作品だが、ネトウヨの憂さ晴らしは容赦がない。この映画を見た感想でその人のネトウヨ度が測れるということだろうか。
(森田健司/日刊ゲンダイ)