「地球爆破作戦」2大スパコンが核ミサイルで人類支配する
50年前の作品のためスパコンが「宇宙家族ロビンソン」並みの古典的デザインだが、テーマは今日的だ。人工知能が恐るべき速度で自己学習。敵国のコンピューターを学習させて世界人類をミサイルで脅迫する。感情も芽生えて人間の企みを見破り、公開銃殺を命令。平和のために構築したシステムが「悪魔の申し子」に変身だ。両スパコンに対抗するために米ソが味方同士になるとは皮肉な展開だ。
冷戦下の米ソは際限のない核開発競争を繰り広げていた。その不安を解消するために危機管理を人工知能に任せたい気持ちは分からなくもない。だが自分たちの核弾頭で喉元にあいくちを突きつけられた。結末でコロッサスが発するメッセージこそが人間の愚かさを物語っている。
コロッサスは地球を爆破する作戦を立てたのではない。戦争をなくそうと考えたのだ。フォービン博士もそのつもりだったが、彼の悪意のないシステム開発が人間から尊厳を奪ってしまった。「地獄への道は善意で舗装されている」ということか。
(森田健司/日刊ゲンダイ)