中村吉右衛門 一時心肺停止も千両役者に引退の二文字なし
青山氏の祖父も人間国宝で劇団新派の名女形だった故・花柳章太郎である。
「ですが、あとになって、なるほどと膝を打ちました。大舞台で大見えを切ったり、大観衆を沸かせる吉右衛門さんは、そうした役柄にエネルギーを集中させる方なんだなと。幕が下りれば、物静かな、素のご自分がいらっしゃる。だけれども、そうしたお顔は公の場やファンの皆さんの前では隠し、見せないようにしていたのでしょう。千両役者とはそういうものじゃないかと思っています」と続けた。
体調のすぐれない昨今も、それをおくびにも出さず、力強い役柄になりきって舞台に立っていたのか。当面は療養に専念し健康を取り戻してもらいたいと、ファンならずとも思っているはずだ。