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児玉愛子韓国コラムニスト

韓流エンタメ誌、ガイドブックなどの企画、取材、執筆を行う韓国ウオッチャー。新聞や雑誌、Webサイトで韓国映画を紹介するほか、日韓関係についてのコラムを寄稿。Webマガジン「オトナの毎日」でイラストエッセー【毎日がエンタメ】を連載中。

カンヌで快挙も…映画「ベイビー・ブローカー」に韓国人が感情移入できないワケ

公開日: 更新日:

 是枝裕和監督の最新作「ベイビー・ブローカー」(24日・金からTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)は主演のソン・ガンホがカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。是枝監督が手掛けた初の韓国映画で、韓国人俳優が初の最優秀男優賞に輝いた。映画は“ベイビーボックス”と呼ばれる赤ちゃんポストに自身の赤ん坊を預けた若い女性と、その赤ん坊を連れ去ったブローカーたちとの、養父母探しの不思議な旅を描いている。

 日本の赤ちゃんポストと同じように、韓国のソウルにも両親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる「ベイビーボックス」が設けられている。利用件数は少なくないそうで、映画のようにポストに赤ちゃんを預けにくる母親は後を絶たない。

 かつてはこうした施設で育った子どもたちが海外の里親と養子縁組し、海を渡るケースも多かったという。朝鮮戦争で親を亡くした子どもも大勢いて、半世紀以上前は年間に数千人もの赤ん坊が養子となり、国際社会からは“赤ん坊の輸出国”と批判された時代もあった。

 政府が規制を厳しくして以来、海外での養子縁組は激減し、今は数百人にとどまっているというが、施設は常に満員状態だそうだ。韓国人が里親になるのが一番だが、韓国人にとって重要なのはやはり血縁関係。他人の子どもを育てることには抵抗があるようで、現実的にはそう簡単ではないという。

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