活動の場を東京に移して始まった地獄の日々 俺にとって東京は「頭狂」なのだ
どんどん追い詰められた俺は携帯電話の電話帳を開いて片っ端から電話して、人脈を伝ってとにかく何でもやりました。石焼き芋を売ったり金持ちが飼ってる犬の散歩をしたり、六本木の店に呼び出されてケツにドンペリを入れられたり。ある酒席でボトルの酒を「3秒で飲んだら10万円やる」って言われたんで2秒で飲み干したら、「こいつ、怖えな」と金も置かずに帰られたり。
あの頃のことを思い出すと、なぜか「山月記」(中島敦著)の虎が夜中にやってきて俺を丸のみにしようとする映像が浮かんできます。俺にとっての東京は頭が狂うと書いて「頭狂」でしたわ。
(聞き手=常松裕明)