ジャニーズ性加害問題は組織犯罪。喜多川ひとりを悪魔化して属人的問題に帰することは、巨大な性犯罪の矮小化につながる
〈構造〉を変えないことには、エンタメにもこの国にも未来はない
Nスペを観て痛感したのは、ジャニーズ性加害問題は組織犯罪であるということ。ジャニー喜多川ひとりを過剰に悪魔化して属人的問題に帰することは、巨大な性犯罪の矮小化につながる。子どもの人権問題に詳しいジャーナリスト今一生さんがつねづね指摘してきたように、この国の「子どもの被害に対する無関心」がこれほどの地獄を生みだしたのだ。
モンスターは死んでもう消えたから今後は安穏な日々が続く、なんて誰にも言えないはずだ。罪を犯した個人を裁くのは当然だが、その悪辣なふるまいを許したり助長したりしたのは〈構造〉なのだ。それを変えないことには、エンタメにもこの国にも未来はない。
最後に衆院選について少々。
23日、「しんぶん赤旗」がまたスクープを打った。自民党は派閥裏金事件で非公認となった候補が代表を務める党支部に政党助成金2000万円を振り込んだ、と。報道を驚くほどあっさりと認めた森山裕幹事長は「候補者に支給したものではありません。党勢拡大のためです」と迅速な火消しに努めた。
つまり〈非公認〉とは「公認はしないが、公認と同額のカネは配る」という意味だと〈公認〉したわけだ。あと「党議員の応援演説と公明党推薦がつく」もあるんだっけ。ないものといえば当然ながら「比例重複」か。あ、「石破首相の応援演説」もそうか。ううむ。ぼくは〈非公認〉という日本語を誤って使ってきたのかな。どうなってんのよ、自民党の国語事情は。
首相ではなく党総裁としての石破茂さんに問いたい。貴兄が「真の保守とは」と説く先の現実はこれだったんですか。それとも、いまはガマンと砂を噛むような思いでこの時を過ごしているのでしょうか。
イヤな現実を目の当たりにしたとき、目につきやすい特定の人物のせいにしたり、やたらとSNSのせいにしたりする人たちがいるが、ぼくはそんな思考は本質的ではないどころか、事態の矮小化にしかならないと考える。もう一度言おう。〈構造〉を変えないことには、政治にもこの国にも未来はない。
日曜はどうか未来につながる投票を。