最悪一生寝たきりも…風邪だと思ったら「扁桃炎」の恐怖
「細菌やウイルスなど病原菌が通る最初の関門が扁桃で、常に炎症があります。しかし健康な時なら、炎症があっても大したことはありません。ところが、風邪をひいたり疲労、喉の乾燥があると、扁桃の細菌が増殖し、炎症がひどくなります。最初は“ボヤ程度”だったのが、どんどん“火”が大きくなっていくのです」(順天堂大学医学部付属順天堂医院耳鼻咽喉科・三輪正人准教授)
■手術しても“肉”は腐ったまま
最初は扁桃だけの炎症(扁桃炎)だったのが、炎症が扁桃の周囲、そして喉の奥にまで広がり、膿がたまる。さらに炎症は、頚部から食道へ、食道から胸へと広がっていく。
「扁桃だけの炎症なら抗生物質で対処できるかもしれませんが、扁桃の周囲まで炎症が広がり膿がたまった扁桃周囲膿瘍以降は、抗生物質に加え、切開して膿を取り除く手術が必要です。手術後も、肉が腐り、細菌が繁殖して膿がたまりやすい状態になっているので、胸腔内にチューブを置いて圧をかけ、胸腔にたまった膿をその都度吸引する胸腔ドレナージが必要になることもあります。入院は数週間に及びます。場合によっては、どんな手もうまくいかず亡くなられる方もいるのです」