1日10回の「腰割り」習慣化で“要介護状態”リスクを予防する
老いは足から始まる──。つまずきやすかったり、腰痛、膝痛があるなら、足腰の筋肉が衰えている証拠。ロコモティブシンドローム(運動器症候群)になれば、要介護状態になってしまうリスクもアップする。予防のためには「腰割り」が効果的だ。
股関節の周りには全身を支える大きな筋肉が集まっている。これらが加齢で衰えると上半身のバランスが崩れ、腰や膝に負担がかかって腰痛や膝痛が起こる。足を持ち上げる力も弱まり、つまずきやすくなる。片足で立ちながら靴下がはけなかったり、「女の子座り」ができない人は、股関節周辺の筋肉が衰えてきている。
そんな下半身を若返らせるには、「腰割り」が有効だという。筑波大学人間総合科学研究科教授の白木仁氏(写真)は言う。
「腰割りは、昔から相撲取りが重心を安定させるために行っているトレーニングで、四股踏みの前段階に行うものです。下半身を鍛える運動というとスクワットが一般的ですが、前傾姿勢で膝も正面に向けて屈伸するスクワットは、体重が重い相撲取りの膝や腰に重度の負担がかかってしまいます。1500年も前から相撲取りたちの間で腰割りが行われてきたのは、足腰に無理なく下半身を鍛えられる、理にかなった運動だからなのです」