内藤やす子さんは公演中に脳出血 倒れて数年間の記憶なし
倒れたときのことはおろか、その数年前からの記憶もおぼろげなんです。
幼いころの記憶は鮮明ですが、自分が歌手だった過去もあまり思い出せなくて、私、公演中に倒れたんですってね(笑い)。それからどうして過ごしたのかも数年間は分からない。気づいたのは5年ぐらい前でしょうか。その辺りからやっと記憶がある感じです。
夫の話によると、倒れたのは2006年、福島でのディナーショーの最中だそうです。救急搬送されて脳出血と診断されましたが、出血量が少なかったのと、危険な状態ではないということで、手術をせず、投薬治療になりました。
後遺症は、言葉がうまく出てこない失語症、右半身まひ、徘徊などをしてしまう認識障害もあったようです。そして、自分が何者であるかも忘れてしまう記憶障害。でも、どうしてだか夫の顔を見たときには「マイハズバンド」と言ったそうです。不思議ですね(笑い)。
運ばれた福島の病院は、3カ月ほどで退院しましたが、その後は東京に戻って病院へ通う日々を送りました。写真が残っているので、「ああ、こんなことしてたんだ」と思うくらいで、つらかったか楽しかったかも、まるで記憶がありません。こう言ってはなんですが、“ただ生きているだけ”でした。ただ、そこにあるものを着て、出されたものを食べ、不安もなければ幸せもない「ゼロ」だったんです。