極度の糖質制限は危険 がん患者が取るべき「正しい栄養」
東口教授によると、がんは自身が生き延びるため、患者本人のタンパクや脂肪を崩壊させてブドウ糖に変換し、それをエネルギーとして使う。
がんはブドウ糖しかエネルギー源として使用できないので、ブドウ糖を得るためにがん患者の骨格筋や脂肪をどんどん溶かして、高度の“代謝障害”に誘導するという。
「がん細胞は、インスリンや種々のホルモンが正常に作用しないようにして使われない糖を乳酸に変換し、これを元にエネルギーをつくり上げます。この変化はがん患者さんが糖を摂取しなくても起こります」
要するに糖質制限をする、しないにかかわらず、がん細胞は体の骨格筋や脂肪を崩壊させて、生み出されたエネルギーによりどんどんと増殖するのだ。
「糖はよほどたくさんの量を摂取しない限り、がんの発育を早めることはありません。糖質を過度に制限すると、むしろ正常細胞が必要とする糖を著しく減らすことになります。そのため、がんも正常細胞も糖を得るためにタンパクや脂肪が崩壊され、著しく減少し、患者さん自身ががんより先に滅びてしまうことになります。大事なのは『糖を取らないこと』ではなく、『糖を正常細胞がうまくエネルギーに変えられるか』です」