医療が介入しないと納得しない風潮に問題がある
それが老衰死のみとりを妨げ、体中にチューブやセンサーをつけた“スパゲティ症候群”で亡くなる人を増やしているのだ。
点滴や酸素吸入もしない、医師もいない状態で亡くなっていくのは悪いことではない。むしろ、亡くなる本人にとっては楽かもしれない。しかし、そうするためには周囲が死を学び、それを理解する必要がある。
「今はお年寄りであっても、人の死に立ち会ったことがない人が増えている。立ち会ったとしても病院死しか見ていないから、死は不安で苦しくて怖いもの。医療を通過しなければいけないものと思い込んでいるのです。大切なのは、周囲の人が『衰弱死は悪くない。いいんだ』と理解していくことです。それには、死を学ばなくてはなりませんし、それを『自分のこと』と考えておかないと、自分の死はひどいことになると覚悟する必要があります」