肝臓がんと死亡数逆転の膵臓がん 糖尿病増加が影響か
「膵臓がんは5位」という印象をお持ちのかたも多いと思います。死亡1位は肺がん、2位が胃がん、3位大腸がんと来て、「では4位は?」とたずねると「肝臓がん」と答える人がかなりいます。しかし現在は、新規患者数でも死亡数でも膵臓がんが4位です。
理由は2つ。ひとつは肝臓がんが着実に減り続けていること。肝臓がんの最大の原因はB型・C型ウイルス性肝炎。しかし感染予防や抗ウイルス治療、肝機能の定期的なチェックなどが進んだ結果、さほど恐れる病気ではなくなりつつあるのです。
もうひとつの理由は、膵臓がんが増え続けていることです。そのため新規患者数で2010年に、死亡数で2012年に、肝臓がんとの順位が入れ替わったのです。ただし増えているとはいっても、乳がんや前立腺がんのように爆発的に増えているわけではありません。
〈表〉は膵臓がんの新規患者数と死亡数をまとめたものです。膵臓がんは男女差が小さいことが特徴のひとつです。今世紀に入ってから2012年までに、男性も女性も新規患者数が1.6~1.7倍も増えました。ただ、高齢化の影響を除いた年齢調整罹患率は1.2~1.3倍にとどまっています。患者数が増えた理由のひとつは、糖尿病患者が増えたことかもしれません。膵臓の機能をチェックするために行う超音波検査で、たまたま見つかることが少なくないからです。