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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

乳がんで亡くなった小林麻央さんから学ぶ3つのこと

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 もし治療方針に迷ってセカンドオピニオンを求めるなら、同じ診療科の別の病院では無意味。放射線科を受診すること。すべてのがんの、すべての治療に精通しているのは放射線科だけです。

 もう一つは、介護の問題。一般に健康寿命は70歳で、残り10年は介護が必要とされます。そうなるのは脳卒中で半身麻痺になったり、認知症になったりした場合です。亡くなる直前まで仕事ができるがんなら、介護生活はごくわずか。介護地獄のようなことには、なりにくいのです。

 愛川欽也さんが息を引き取ったのは、人気番組を降板し、自宅で介護生活に入った直後だったとされています。自宅でのみとりが3つ目です。

 がん患者の晩年を追跡した研究で、病院と自宅を比較すると、寿命は変わりません。何が言いたいかというと、医療施設の充実ぶりは、寿命に関係がないのです。

 末期がんの治療は、痛みを取り除く緩和ケアが中心。よく使われるオピオイド(医療用麻薬)は点滴のほかに飲み薬、貼り薬、座薬などがあって、患者一人一人が症状に応じて薬の量を調整できます。在宅でも病院と変わらないケアが可能なのです。

 海老蔵さんによると、麻央さんは亡くなる1日前まで会話ができ、2人の子供が寄り添っていたといいます。一般にイメージされるような、苦しみながら迎えた最期ではありません。適切な緩和ケアを受けていれば、家族とかけがえのない時間を過ごすことができるのです。

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