投与で進行リスク2割減 乳がん治療薬に新たな「第1選択」
「ホルモン受容体陽性の再発乳がんの特徴として、比較的、術後年数が経ってからの再発例が多い。さらに最初の再発部位の調査では、骨転移が多い傾向にあり、脳転移の出現は平均5年で、脳転移発生後の予後は短いことが判明しました」
■ポイントは抗がん剤切り替えのタイミング
今回、治療法が変わったのは、ホルモン受容体陽性の、閉経後の進行・再発乳がんだ。
乳がん治療に使われる主なホルモン剤は、作用メカニズムが異なる「抗エストロゲン薬」「アロマターゼ阻害薬」「LH―RHアゴニスト製剤」「黄体ホルモン薬」がある。初回に使用される薬は、当然ながら、「最も効果が高い」と試験で証明されたものだ。
「かつては抗エストロゲン薬の『タモキシフェン』という薬が第1選択でしたが、アロマターゼ阻害薬の方が効果が高いことがわかり、そちらが第1選択になりました。そして新たに、抗エストロゲン薬の『フルベストラント』が効果が上回るという国際試験の結果が出たのです」
それにより、閉経後の進行・再発乳がんのホルモン療法の第1選択は、フルベストラントになった。試験では、アロマターゼ阻害薬よりも奏効期間(薬が効いている期間)が約8カ月長く、臨床的有用期間(臨床的に有用性が認められた期間)が3カ月長かった。この薬を使うことで、従来より、病気の進行リスクを20%減少できるという結果も出ている。