骨を丈夫にするだけじゃない ビタミンDの驚くべき実力
その後、この研究に関心を寄せる海外の学者と連携。ビタミンDの投与と呼吸器感染症との関係を調べた国内外の25の報告(2009~16年)を統合して、0~95歳の約1.1万人のデータを共同解析した。
「やはり、ビタミンDの錠剤を飲んでいた群は、そうでない群に比べて肺炎などの急性期の呼吸器疾患が2割少なかった」(浦島教授)
■多くの遺伝子のスイッチ役
このビタミンDの意外な力はがんでも確認されつつある。
米国でがんの分子生物学的研究を行い、国立がんセンター研究所がん予防研究部室長も務めた「銀座東京クリニック」の福田一典院長が言う。
「ビタミンDと発がん率・がんの死亡率の関連は、悪性黒色腫、乳がん、前立腺がん、直腸がん、卵巣がん、腎臓がん、食道がんなど多くの悪性腫瘍で示されています。例えば、大腸がん患者を追跡した調査でビタミンDが肝臓で代謝されてできるプレ活性型ビタミンDの血中濃度が高い人は、低い人に比べて大腸がん死亡率は半分でした」