ビジネスシーンでも応用可 皮膚感覚と感情の密接な関係
結果は、ホットコーヒーを持った人は、その人物の印象を「親切」「寛容」と評価。さらに実験の謝礼として「友人へのギフト」と「自分のための品」のどちらかを選んでもらうように依頼すると、手を温めた人の多くが「友人へのギフト」を選択。その後の実験でも、皮膚を温めた人は人への信頼感が増し、対人距離が短くなることも分かったという。
「これらはきちんと説明がつきます。脳の島皮質と線条体という部分は体の温かさを感じると興奮しますが、同時に心理的な温かさにも興奮するので温かい気持ちを持ちやすくなるのです。また、脳の扁桃体はネガティブな感情に反応し、体が冷やされたときにも反応してしまいます」
他にも米国の心理学者の実験では、触り心地のいいものを触ると、人は無意識のうちに人に優しくなったり、協調的になったりする結果が出ている。つまり、皮膚から得られる刺激と似た心の状態がつくり出されるのだ。これはビジネスシーンにも応用できるという。
「交渉を成功させたいときや相手の態度を柔軟化させたいときは、『温かい』飲み物を手に持たせ、『やわらかい』椅子に座ってもらうといいかもしれません」