経口ステロイド薬が減量できる「重症喘息」新薬の実力
重症喘息の患者は、しばしば喘息の増悪を繰り返す。対処が遅れれば死に至る。この喘息増悪に大きく関係しているのが好酸球だ。重症喘息の半数以上が好酸球性喘息というデータもある。
「高用量吸入ステロイド薬を用いる血中好酸球数300以上の患者さんを対象に、ベンラリズマブ群とプラセボ(偽薬)群を比較した臨床試験では、年間喘息増悪率を83%有意に低下させました。また、4週間という早期で呼吸機能を改善し、その効果は48週まで維持されました」
高用量吸入ステロイドを用いる血中好酸球数150以上の患者では、ベンラリズマブで症状のコントロールが可能になるのに反比例して、経口ステロイド薬の1日用量を75%減少できるという結果も出た。
ベンラリズマブは、薬価収載前までに全国の病院で100例以上の患者に倫理的無償提供されたが、堀口教授の患者8例をはじめ、良好な結果が出ている。
「経口ステロイド薬は骨粗しょう症や骨折、筋力低下、白内障などさまざまな副作用があります。一方、ベンラリズマブは皮下注射で大きな有害事象がなく、注射部位の反応や軽度の頭痛程度。生物学的製剤のオマリズマブはすでに経口ステロイド薬より先に用いられるようになっており、ベンラリズマブも今後そうなっていくでしょう」