著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

お年寄りにも優しく簡便ながん検診の進歩に期待したい

公開日: 更新日:

 犬がにおいでがんを見つけるというもので、がん探知犬は、患者の息(呼気)、尿、便汁のにおいでがんの診断ができるといいます。確かに、犬の嗅覚は人間よりはるかに優れており、実際にがん検査に利用されているところもあるようです。

 しかし、がん探知犬の育成には多額の費用がかかったり、犬の集中力に左右されるため、1日で調べられる検体数が少ないといったハードルもあると聞きます。

 1ミリほどの大きさの線虫の嗅覚を利用したがん検査の研究も進んでいます。専門誌によると、線虫は好きなにおいの方に誘導され、嫌いなにおいには忌避行動を示すそうで、がんのにおいが好きだといいます。寒天プレートの片側にがん患者の尿などのにおいの検体を置き、中央に線虫を置くと、30分~1時間で検体の方に移動するというのです。これなら安価にたくさんの検体検査が可能な上、早期がんでも成功率が高いそうです。周囲の環境や生物そのもののコンディションの影響を受けやすいとされていますが、実用化のために、さらなる臨床研究が企画されているようです。


 犬にしても線虫にしても、簡便、そしてユニークな検査法でとても興味深く思います。ただ、いまのところがんの部位の特定まではできていないとのことなので、さらなる研究に期待しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  3. 3

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 4

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  5. 5

    マイナ保険証「期限切れ」迫る1580万件…不親切な「電子証明書5年更新」で資格無効多発の恐れ

  1. 6

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  2. 7

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  3. 8

    Mrs.GREEN APPLEのアイドル化が止まらない…熱愛報道と俳優業加速で新旧ファンが対立も

  4. 9

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  5. 10

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差