救命救急専門医が語る 熱中症リスクの高い人とその対処法
正しくは、部屋の中に温度計と湿度計を持ち込み、健康な人なら自分が心地良い室温と湿度に設定する。喉が渇いた自覚の乏しい高齢者は室温を常に30度以下になるよう、エアコンの設定を小まめに変えることだ。
「水を飲んでいたのに熱中症になった」という人も勘違いが多い。朝、昼、晩に1杯ずつしか水を飲んでいないのに「水を飲んでいた」と訴える人もいる。
しかし、本来は汗をかいた分だけ給水が必要で、食事以外で1日2リットル程度が必要とされる。
特に高齢者は体の水分の割合が、赤ん坊が70~80%、大人60%に対して50%と低い。しかも、あまり体を動かさないからお腹が減らない。だから本来は食事から取るべき水分が不足する上、低栄養で体に必要な電解質が不足しがちだ。
さらに、夜間頻尿を避けるためという理由で自ら飲食を控えてしまうことが多い。その結果、熱中症が重症化することが多いのだという。
水を小まめに飲む、就寝時を含めエアコンをつけっぱなしにする、風通しの良い服装にする、子供に無理な運動はさせないなどの注意点はあるが、最大の熱中症の予防策は「社会的つながりの薄い人を極力減らすこと」だ。熱中症が社会的な病気の側面があることを忘れてはいけない。