一流科学雑誌も注目 リハビリ効果アップする初の化合物
■マウス、カニクイザルの実験では脳卒中のリハビリ効果が劇的向上
これまで脳卒中後の機能回復は、リハビリを行うしか方法がなく、介入する薬がなかった。今回の実験によって、化合物がリハビリ効果を大きく促進する新薬候補となることが証明されたという。
「この化合物は新しい概念の薬剤だと言えます。それはリハビリに依存的に回復を促進させるからです。実験ではマウス脳損傷モデルを使ったのですが、化合物投与とリハビリを併用すると約50日で損傷前と同じ動きができるまで回復しました。一方、同じ期間で『化合物のみ』『水のみ』『水とリハビリの併用』の群では、回復の程度はどれも損傷前の半分以下という結果です」
また、人のように指で物をつまむ動作を評価できるカニクイザルを用いた実験では、化合物投与とリハビリを併用した群では、約30日で狭い隙間から落とさずにエサを取る細かい作業ができるまで回復したという。
今後は、脳卒中後の回復期リハビリを行っている患者を対象とした企業主導の治験(第2相)が行われる予定だ。