親がボケた!「絶望」「諦め」「怒り」「愚痴」すべてダメ
ただし長年、老年精神医学の現場に身を置いてきた者として強調したいのは、臨床経験が豊富な専門医に診てもらうことが大切だということ。巷には、大学の医学部で教授などを務めた後、臨床経験がきわめて乏しいにもかかわらず、これまでの肩書だけで定年後に開業医になった医者もいる。要注意だ。ネットなどで経歴を調べてから受診することをおすすめしたい。
とにかく認知症と診断されたとしても「いまあるがままの親」を悲しまず「できなくなることが少し出てきただけ」と冷静に受け入れること。「かつての親の姿」を追い求め、親の「変」に感情的になって叱ったり、愚痴や暴言を吐いたりするのは望ましくない。叱って認知症が悪化するのではないが、機嫌が悪くなれば問題行動が出やすくなるし、叱った子どもは罪悪感をもつので介護うつの原因になる。「高齢の親に死ぬまで機嫌よく生きてもらう」のが基本原則だし、こうした経験はやがて認知症になるかもしれない、あなた自身の学びの機会ともいえる。「もっとやれることがあった」と後悔せず、納得できる親子関係のフィナーレを迎えるために、子どもが心得ておくべきことは多い。