WHO推奨は1日5g未満だが…日本人は本当に塩分過剰なのか?
■戦後“悪役”になったのはなぜか
そもそもこうした大規模疫学研究が発表されたことを受け、欧米では近年「塩分取り過ぎは本当か」との議論が活発になされている。にもかかわらず、日本ではこれまでの理論に矛盾しない研究ばかりを重視して一律に減塩を強いるのはいかがなものか、と白澤院長は言う。
塩は英語でソルトと呼ばれる。これは「サラリー(給料)」の語源とされている。古代ローマでは塩は命をつなぐ必需品でありながら貴重だったため、兵士への給料として払われていたからだ。
「本来、塩は海水から作られていて、その成分は海の環境により変わるとはいえ、おおよそ塩化ナトリウム77.9%、塩化マグネシウム9.6%、硫酸マグネシウム6.1%、硫酸カルシウム4%、ほかに人体が必要とするミネラル成分で構成されています。地球上には92種類のミネラルが存在し、ほとんどの生物は約30種類のミネラルでできているといわれています。そのうち1日100ミリグラム以上の補給が必要なものを必須ミネラルといい、海水には16種類の必須ミネラルが含まれています。だからこそ塩は生きるために欠かせないのです」