WHO推奨は1日5g未満だが…日本人は本当に塩分過剰なのか?
その塩がなぜ“悪者”になったのか?
「キッカケは戦後の日本で塩の消費量と高血圧・死亡率を調べたダール博士の研究にあります。青森県に住む人が鹿児島県在住の人に比べて塩を2倍多く使い、高血圧・死亡率も2倍高かったため、『高血圧の発症は塩の取り過ぎが原因』と結論付けたからです」
さらに、1972年にメーネリー博士が10匹のラットに塩分の多いエサと飲み水を与えたところ10匹中4匹が高血圧になった。その研究が「塩は悪い」という風潮に拍車を掛ける形になったと白澤院長は言う。
「しかし、ダール博士の研究はデータの取り方がずさんであり、メーネリー博士の実験は人間に置き換えると1日500グラムの塩を与えることに等しいもので現実味がありません。また、逆に6割のラットは塩を大量に取っても高血圧にならないという意味にも取れるものです」
岩塩や海水から作られている欧州の塩に比べ、私たちが日常的に使っている工業的に作られた精製塩は99・9%が塩化ナトリウム。ミネラル分はもちろん、ナトリウム排泄に必要なカリウムがほとんど含まれない。そのことも関係しているのではないか、と白澤院長は言う。ナトリウムの排泄に関係する腎臓の機能が低下している人は減塩が必要だとはいえ、欧米では結論が明確に出ていない減塩運動。敏感になり過ぎる必要はないのかもしれない。