女性不妊の新治療 月経血の幹細胞を使う子宮内膜再生増殖法
幹細胞培養上清液を使った治療は、すでに美容医療で皮膚の肌質改善などに用いられており、組織を再生させる点で効能のメカニズムは同じだ。ただ、通常は患者の皮下脂肪に存在する脂肪由来間葉系幹細胞が使われることが多い。ERPでは、患者の月経血に含まれる「月経血由来幹細胞(間葉系幹細胞)」を使用するのが特徴だ。
■着床不全の35歳以上が対象
ERPの流れは、月経1~3日目の月経量が多い日に来院。月経血(3~5㏄)の採取は、痛みはなく1分程度。その後、月経血から幹細胞を抽出し、30日間培養。
そして、標準着床時期の2~5日前に、培養でできた上清液を患者の子宮内に注入する。注入から3~4日目にエコーで子宮内膜が厚くなったことが確認できたら、事前に体外受精で凍結しておいた受精卵を子宮内に戻すといった運びだ。
「対象となるのは、体外受精に何度も失敗していたり、内膜の状態が悪く着床不全の疑いなどと診断されている人。ですから、だいたい35歳以降の患者さんです。ERPは子宮内膜を新しく再生し、着床環境を改善する治療ですが、さらに上清液中には胚(受精卵)の成長を促進する物質が含まれていることも確認されています」