世界中どこからでも手術支援が 5G遠隔高度医療の最新事情
NTTドコモでは2020年に国内の5Gの商用サービス開始を予定している。このインフラが整えば、将来的には手術支援ロボットやAI(人工知能)を組み合わせた遠隔医療が実施できる可能性があるという。
■移動式スマート手術室の開発も進行中
村垣教授らが実際に進めているのは、スマート治療室を移動式にした「モバイルSCOT(スコット)」の開発だ。スマート治療室とは、手術で使う各種の医療機器をパッケージ化し、ネットワークでつなぐことで、術中の患者の状況などの情報をリアルタイムに整理統合し、医師やスタッフ間で共有できる手術室のこと。同大が開発したスマート治療室は「SCOT」と呼ばれ、ベーシックタイプはすでに国内5施設の医療機関に導入され治療に使われている。
今年2月にスペインで開催された世界最大級のモバイル関連展示会「MWC19バルセロナ」で、NTTドコモが5Gコーナーで展示したひとつがモバイルSCOTの構想だ。
「これはSCOTを大型トレーラー内に設置した専用車で、災害現場などへ急行できるようにした動くスマート治療室です。それで展示では、その手術に精通するドクターが高速鉄道で移動中という想定で、車内から5Gを使った遠隔医療用の端末で実際にモバイルSCOT内で手術をしている医師やスタッフにリアルタイムで助言や支援をするといったことを表して展示しました」