認知症で引きこもっていた人が外に出るにはきっかけが必要
「3年前に退職した父が、認知症と診断されたら家に引きこもってしまいました。どうすればいいのでしょうか?」
こんなケースが少なくない。私が知っている限り男性に多いようだ。とくに社会的地位が高い男性ほど引きこもりやすいといわれる。輝かしい経歴を持ちながら、認知症になったことにプライドが許せないのだろうか。実際、引きこもっていた当事者にたずねるとこう言われた。
「認知症になったら、いずれ話ができなくなって徘徊もするんだろうな。こんな病気になって恥ずかしい。誰にも見られたくない。そう思ったら外に出られなくなった」
認知症になって引きこもると、症状が早く進行するといわれる。放っておけばうつ病になることも多い。かといって、家族が外に連れ出そうとしても、なかなか本人は外に出てくれない。ではどうすればいいのか。
引きこもっていた人が外に出るには、何らかのきっかけが必要のようである。
たとえば広島の竹内裕さんは、同期生の還暦祝いに無理やり連れ出され、酒を飲んでいるうちに居直ったという。佐世保の福田人志さんは、自分が創作した「壱行の歌」の展示会を開いたことがきっかけでカミングアウトした。