丸山ワクチンは70年以上も「治験」という形で使われている
結局、91年に丸山ワクチン濃厚液はがんに対してではなく、放射線治療の副作用による白血球減少の抑制剤として認可され、保険適用となりました。
ただ、この放射線の副作用は臨床的に問題になることは少なく、有用性はそれほど大きいものではありませんでした。しかもその後、抗がん剤での白血球減少による感染症が起こった場合は、「G―CSF」(顆粒球コロニー刺激因子)というもっと強力に白血球数を増やす効果が得られる薬剤が開発されました。
これまで、丸山ワクチンのがんに対する効果は基礎的、免疫学的な研究ではいろいろ説明されています。しかし、臨床的にはがんに対する効果は科学的に証明されず、つまりエビデンスがないまま、作られてから70年以上経っても、いまだに「治験」という形でがん患者さんに使われているのが現状です。
そのため、患者さんや家族が丸山ワクチンを手に入れる時、日本医大は検査データを要求しています。いつまでも「治験」ではなく、早くしっかりした結論を出すのが患者さんに対する責任であると思います。