テレビドラマ、会議、電話、飲み会での言葉が聞き取れない
大学4年生の真壁詩織さん(22)の場合は、小さい頃から周囲の人より自分は聞き取れていないことに悩んできた。もっとも、真壁さんとは喫茶店でインタビューを行ったが、特に問題なく質疑応答をすることができた。しかし、授業で先生がしゃべっている声などは、途端に分からなくなるのだという。
「テレビも、バラエティーとかドラマは本当に分からないですね。バラエティーはテロップが時々出るけど、ドラマは何を言っているか分からない。同じ理由で日本映画もダメなので、いつも洋画を字幕で見ています」
平野医師が解説する。
「APDの人に多く見られる特徴として、騒音下で聞き取れなくなる、複数人の会話が聞き取れない、話すスピードが速いと理解できなくなる、電話や無線などが聞き取れない、横や後ろから話されると分からない、といったことがあります。人と並んで歩いているときに横から話されても何を言っているか分からないので、歩いているときには一切しゃべらない、という人も結構いますね」
聴力に問題はないのに、そのようなさまざまなシーンで言葉が聞き取れないことに長年悩んできたのが、APDの人たちなのだという。