「冠動脈起始異常」は若い世代の突然死の大きな原因になる
冠動脈起始異常は、それまでほとんど自覚症状がありません。症状が表れ始める10代後半あたりの年代、中学校くらいまでは運動量や負荷量がそれほど多くないため、心臓がまだ受け止めきれるのです。
プロスポーツの世界で、突然、若い選手がトップレベルに躍り出るケースを目にしますが、多くは10代後半の高校生くらいの年齢です。中学生世代はまず見かけません。やはり10代後半から身体の機能が大人になってくるからでしょう。とはいえ、体格はまだ幼いわけですから、トップレベルの記録を出すためのトレーニングなどで運動量や負荷量が一気に増えると、冠動脈起始異常があれば心臓に致命的なトラブルが起こる危険があるのです。
■アスリートではない一般人でもリスクあり
アスリートでなくても、その年代で冠動脈起始異常が突然死を引き起こすケースはあります。たとえば、中学生までは自覚症状もなく問題なく生活できていたのに、進学した高校が体育授業の中で長距離走などのスポーツに力を入れている学校で、急に運動量や負荷量が増えて心臓が耐えられなくなる……といった可能性も考えられます。生活環境が変われば運動量や負荷量も変わるので、一般の人でも冠動脈起始異常によるリスクはたくさんあるのです。