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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

「冠動脈起始異常」は若い世代の突然死の大きな原因になる

公開日: 更新日:

 冠動脈起始異常は、それまでほとんど自覚症状がありません。症状が表れ始める10代後半あたりの年代、中学校くらいまでは運動量や負荷量がそれほど多くないため、心臓がまだ受け止めきれるのです。

 プロスポーツの世界で、突然、若い選手がトップレベルに躍り出るケースを目にしますが、多くは10代後半の高校生くらいの年齢です。中学生世代はまず見かけません。やはり10代後半から身体の機能が大人になってくるからでしょう。とはいえ、体格はまだ幼いわけですから、トップレベルの記録を出すためのトレーニングなどで運動量や負荷量が一気に増えると、冠動脈起始異常があれば心臓に致命的なトラブルが起こる危険があるのです。

■アスリートではない一般人でもリスクあり

 アスリートでなくても、その年代で冠動脈起始異常が突然死を引き起こすケースはあります。たとえば、中学生までは自覚症状もなく問題なく生活できていたのに、進学した高校が体育授業の中で長距離走などのスポーツに力を入れている学校で、急に運動量や負荷量が増えて心臓が耐えられなくなる……といった可能性も考えられます。生活環境が変われば運動量や負荷量も変わるので、一般の人でも冠動脈起始異常によるリスクはたくさんあるのです。

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