自分にとっての新たな挑戦「ミックス」に取り組んでいる
ミックスだけでなく、近年はいくつも新しい治療法が登場しています。そのたびに自分でも取り組むべきかどうかで迷い、「もう次の世代に任せてもいいだろう」と考えてきました。しかし、かつて「心臓を動かしたまま行うオフポンプによる冠動脈バイパス手術」という当時の新しい方法を率先して取り入れ、実績を積み上げてきた自分自身を振り返り、「自分よりも技術的に疑問が残る外科医に任せることが、はたして正しい行為なのかどうか?」という思いが頭をもたげてきました。さらに、「本当は逃げているだけじゃないのか」という自分への問いかけが返ってくるのです。
そして、新たな手術に取り組んで、あらためて勉強する手間があったりプレッシャーがかかるとしても、自分が行うことが患者さんにとって最もプラスになる結果を提供できるのではないかという結論に行き着いたのです。
難易度の高い手術や新しい治療法を「面倒くさいからやりたくない」と考えるようになった時が、現役の外科医として終焉を迎えるタイミングだと思っています。