あなたの頭痛、めまい、古傷の痛み…ひょっとして気象病?

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異常気象、大型化する台風で症状を訴える人は増えている

 天候が崩れそうになると、めまいや片頭痛、古傷の痛みなどの体調不良に襲われる、いわゆる気象病の人が急増している。最近の異常気象がその原因だと考えられているが、気象病を薬だけで根本治療をするのは不可能だといわれている。気象病が引き起こす様々な症状に対処するにはどうすればいいのだろうか。

■その対策とは…

「気象病というのは正式な病名にはなっていませんが、気圧や気温、湿度の変化など、気象の変化によって体調不良が生じることを、いわゆる気象病と呼んでいます」と、〝気象病外来〟を設ける「せたがや内科・神経内科クリニック」の久手堅司院長。

 気象病の症状は、頭痛、めまい、全身倦怠感、不眠、首や肩のこり、古傷の痛み、血圧低下、動悸など、人によってさまざまだ。

「日頃、何らかの不調を抱えている方が気象の変化によって症状が出やすいですね。とくに、片頭痛や喘息を抱えている人は、気圧などの気象変化が発症の引き金になることが、昔から知られていました」

 気象病で悩んでいる人は10~15人に1人の割合ではないかとも言われている。今回の台風15号が関東を直撃したあとにも、久手堅院長のクリニックに患者さんが増加したそうだ。

「気象病に悩まされるのは女性が7〜8割で圧倒的に多い。とくに台風の襲来と生理周期が重なった方の症状がひどかったようです」(久手堅院長)

 なぜ、気象の変化によって体調不良が起きるのか。

自律神経の乱れとの深い関係!

「気象病は、温度差や湿度も関係しますが、最も影響を及ぼすのが気圧の変化です。私たちの体の器官の中で一番気圧の変化を感じやすいのは耳。天気が崩れたり、台風の接近などで気圧が急激に下がると、内耳から気圧の異常な変化が脳に伝わって、体を平常に保つために自動的に血圧を上げたり下げたり、脈を調整したりしている自律神経が過剰に反応してバランスが乱れてしまいます。それで、めまいや片頭痛が起きたり、古傷のある方はそこが痛み出したり、もともと肩こりがちな人は肩こりがひどくなったりするのです」

 女性に気象病が多い理由も、生理でホルモンバランスが乱れやすく、それが自律神経の乱れにつながりやすいからだ。

「もちろん、全ての人が自律神経の乱れで気象病が起きるわけではありません。しかし、全身を制御しているのは自律神経なので、気象病の症状が起きるメカニズムとして、自律神経の乱れを外して考えるのは難しいですね」

 久手堅院長は、鎮静剤などで症状をコントロールすることは可能だが、気象病の根本治療は薬では不可能だと言う。

「なぜなら、自律神経の乱れを改善する薬は存在しますが、飲み続けていて完治するわけではありません。根本的な改善を目指すには、気象病の大きな要因になっている自律神経を乱れにくくすることが重要なのです」

腸は第2の脳 整えることが大切

 その方法として、ストレッチ、生活習慣、食事の3つからアプローチすることを久手堅院長は提案する。

【ストレッチ】耳の血流をよくするストレッチ運動両方の耳たぶを掴んで水平に引っ張って離す。耳たぶを掴んで前に回したり後に回す。耳を多方向に引っ張る。④耳の付け根の真ん中あたりで痛みを感じるところを指で押す。※全て痛みのない程度で行う。

【生活習慣】早寝早起きをし、ストレッチをしたりして、時間をかけて体のエンジンをかけるようにする。パソコンやスマホを使い過ぎないようにして姿勢に気をつける。

【食事】自律神経の乱れを改善するには、腸を整えることが大切。そのためには腸内環境が重要になる。腸の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やす食事が大切なのだ。

「自律神経を整えるために最近注目されているのが『脳腸相関』です。腸は第2の脳と言われているように、腸の状態が悪いと脳にも悪い影響を与え、自律神経のバランスも乱れてしまう。つまり、腸内環境のバランスを整えることは、自律神経を整えることにつながるわけです」

■ヨーグルトで腸内環境を改善

 久手堅院長は、善玉菌を増やして腸内環境を整える手っ取り早い方法は、ヨーグルトを毎日食べることだと話す。

「腸内環境のバランスを整えるには、発酵食品がおすすめです。中でも、ヨーグルトならコンビニなどでいつでも手に入りますし、続けやすい。そのヨーグルトにバナナやレーズンを入れて食べるとより効果的。バナナには自律神経のバランスを整える働きのあるセロトニンを作るのに必要なトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物が含まれています。気象病に悩む方は女性が多く、女性は鉄分は不足しがちですが、レーズンで、血液の鉄分不足が補えます」

 ちなみに、レーズンはヨーグルトに1日浸けておくと柔らかくなってよりおいしさがアップするそうだ。

 鎮痛剤を使えば症状は治まるが、安易な対症療法は気象病をますますひどくするという。

「薬物乱用頭痛といって鎮静剤を使い過ぎると効かなくなって、ますます症状がひどくなる恐れがあります。頭痛薬を使い過ぎるのは問題だと思いますね」(久手堅院長)

 こうした懸念があるため、薬以外の方法でケアをし、自律神経を乱れにくくしておくことが、気象病の悩みを解消するためには大切なのだ。

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