難聴の始まりかも…老親の“耳が遠くなった”と感じたら
正月休み、家族で帰省した人は多い。ほぼ1年ぶりに田舎に帰ったSさんもその一人。Sさんの母親は、80歳を越えて一人暮らし。3年前に夫に先立たれ、同居を勧めるSさんの誘いになかなか首を縦に振らない。
「母は5、6年前に白内障の手術を受けています。あの時は、銀行の書類を書くのに枠の中に書けず、視力がおかしいと気が付いたんです。で、今回は、“耳が遠くなったのでは?”と。テレビの音が大きいし、会話でも何回か聞き返してたのが気になって……」
東京に戻ったSさんは母親の健康不安をこう気に掛ける。
一般的には加齢による聴力の低下は、40歳すぎから少しずつ始まるとされ、高音域から聞こえにくくなるという。老人の場合、日常生活では、耳あかがたまって外耳道を塞いだり、耳かきで突くなどして鼓膜が損傷して聞こえが悪くなるケースもある。
「テレビの音が大きくなった」という、Sさんの母親の場合も、聴力の低下が疑われる典型例だ。場合によっては、難聴の始まりのこともある。一度、病院で診察を受けてみるのがいいだろう。
聴力レベルが著しく低下している時は、補聴器の使用も考えなければならない。難聴者の数は推計で1430万人といわれ、補聴器の利用者は約200万人(いずれも日本補聴器工業会調べ)もいる。決してレアケースではないといっていい。