著者のコラム一覧
奥真也医師、医学博士、経営学修士。医療未来学者

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

米国における乳がん治療の実際<5>日本式医療を守るために

公開日: 更新日:

 病気にならないよう、正しい食事法や生活習慣の知識を身につけ実践することも大切です。定期健診を重視し、問題が見つかれば早めに対処を考えるなど、「健康は自分で守るものと考える」習慣が必要でしょう。

 その上で「フリーアクセス」についていま一度、考え直す必要があります。フリーアクセスとは、どこの病院にも原則的に制限なく行ける制度で、「国民皆保険」とともに日本の公的医療保険制度の骨格を成すものです。

 米国では、専門医にかかるためにはまずプライマリーケア医師に会い、専門的な治療の必要性を合意する必要がありますし、加入している保険で受けられる医療の範囲もばらばらです。一方、日本は、フリーアクセス制度に安住するあまり、軽い風邪や肩凝りでも大病院にかかったり、真夜中に救急窓口に行くケースが多々あります。こうしたフリーアクセスの乱用が医療経済を圧迫し、医師や看護師らの過剰労働を強い、本当に必要な患者さんに医療資源を集中できない原因となっているのです。

 米国の医療プロセスはビジネスライクな半面、それぞれの診療現場では、医師や医療者が心のケアの重要性をよくわかっていて、家庭内暴力を受けていないか、話し相手はいるか、など質問してくれたりします。それは、サービス満載で時間的にきつきつになっている日本の医療のマイナス面を教えてくれる事実でもあります。日本の良い医療制度を守りつつ、病気とどう向き合うか、考える時期が来ていると思います。

【連載】日本人で良かった!公的医療保険

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭