野村克也氏を死に追いやった冬の風呂、急な老化、妻と死別

公開日: 更新日:

 2015年の統計によると日本では入浴中の死亡が年間1万9000人ほどいて、交通事故の死者数の4倍以上に当たる。そのうち9割は65歳以上の高齢者だ。

「高齢者は糖尿病や高血圧などの持病により動脈硬化が進行して血管の柔軟性を失っているからです。それに拍車をかけているのが温度センサーの衰えです。多くの中高年はそれに気づいていません。夏に暑さに気づかずに熱中症になるのと同じで、冬の寒さを感じにくいために血管や心臓に負担をかけているのです」

 中には「寒さを感じないのは健康な証し」と勘違いする人もいる。しかし、本人が気づいていないだけで、血管や心臓に低温によるストレスをかけ続けている。

 気をつけたいのは老化は実は一気に進むことだ。昨年末、世界的な学術雑誌「ネイチャーメディスン」に掲載された論文によると、血液中の老化に関係するタンパク質量の増減から「34歳」「60歳」「78歳」に老化は急激に進むことが報告されている。

 しかも高齢者は一人暮らしが多い。内閣府の調査によると、17年には65歳以上の一人暮らしは627万4000人。13年後には795万9000人になると推計されている。妻や夫に先立たれているケースでは周りが気づかないうちに体に衝撃を受けているから要注意だ。妻に先立たれた夫のダメージは想像以上で、「何でオレなんかが生き残り、あいつが先に逝くんだ……」という絶望感にさいなまれる。妻との死別後、半年以内の死亡率が独身者に比べて40%も上昇。死別後1年でうつ病を発症する率は15%アップし、1年以内の自殺率も66倍に跳ね上がるというデータもある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…