新型コロナウイルス、インフルエンザ…ウイルスに勝つカラダを作る!
感染症から身を守るにはどうすればいいのか
中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの脅威が止まらない。中国での感染者は1万5000人にものぼり、感染は世界中に広がっている。日本国内でも人から人への2次感染が確認され、感染が拡大することが心配されているのだ。猛威を振るう感染症から身を守るにはどうしたらいいのだろうか。
コロナウイルスは一般的な風邪のウイルスの1つ。新型コロナウイルスの症状も普通の風邪やインフルエンザとそれほど大差はないと言われている。
「ただし、今回の新型コロナウイルスはこれまで誰1人出会ったことのない変異したコロナウイルスなので、10人いれば10人が罹る可能性があります。しかも、やっかいなのは発症していない人も感染源になっていることです。潜伏期間が最長で14日間と長く、なかなか発症しないので感染者が動き回っているうちにウイルスをまきちらかしてしまい、感染を拡大してしまう可能性が高いのです」と話すのは、順天堂大学大学院医学研究科の竹田和由准教授。
竹田准教授によれば、罹ったらすぐに命が脅かされるような恐ろしいウイルスはそれほど感染が広がることはないそうだ。なぜなら、そんなウイルスに感染した人は瞬く間に重い症状が出て、他の人にうつす前に亡くなってしまうからだ。逆に言えば、新型コロナウイルスのように潜伏期間が長く、感染力の強いウイルスは、罹ってもそれほど重い症状にはなりにくいのである。
中国政府の国家衛生健康委員会の発表でも、新型コロナウイルスによる肺炎で死亡した感染者の平均年齢は73歳を上回っており、もともと心臓病や腎不全、糖尿病などの重い病気を抱えていた人が多い。新型肺炎が重症化しやすかったのも当然だろう。
■ウイルスを気道粘膜に入れないために、手洗い・マスクが重要
とは言え、新型コロナウイルスがこれからどう変異するのか分からない不気味さもある。では、感染からわが身を守るにはどうすればいいのだろうか。
「一番の方法は人混みの中に行かないこと、咳をしている人や具合の悪そうな人には近づかないようにすることです。しかし、発症していない人でもウイルスを伝染させているケースもあるので、完全にウイルスをシャットアウトするのは無理。咳やくしゃみなどによる飛沫感染、接触感染の可能性が高く、手に付いたウイルスが口に入って増殖する可能性も高いため、風邪やインフルエンザ対策と同様に手洗いやマスクなどで感染症対策を行うことが重要です」(竹田准教授)
インフルエンザやコロナウイルスは気道粘膜の細胞に入って増殖する。口から気道粘膜にウイルスを入れないためにも手洗いやマスクは不可欠なのだ。
日頃から免疫力を高めておくことが大事
今回の新型コロナウイルスのようにワクチンのないウイルスはNK細胞などの自然免疫でやっつけるしか手がない。つまり、日頃から免疫力を上げておくことが大切なのである。
「自然免疫を活性化させるポイントは3つあります。1つは体を冷やさないこと。2つ目はグッドハウジング=清潔で住みやすい環境で過ごすこと。3つ目は免疫を活性化する食品を摂取することです。体温が高い方が免疫力も高くなることは研究でも実証されています。ただし、体の弱っている人、体力のない高齢者や小児は体温が高すぎると消耗してしまい、逆に免疫力が落ちてしまうので注意が必要です。また、グッドハウジングの環境で過ごすのも免疫力を上げるのに大切な要素。キレイで快適な環境にいる方がNK細胞の活性が高くなり、NK細胞が敵を感知する時のレセプターの数が増えるという研究報告もあるのです」(竹田准教授)
■自然免疫を活性化させる3つのポイント
3つ目の免疫を活性化する食べ物とはどんなものなのか。
「発酵食品は免疫力アップにつながります。ただし、発酵食品なら何でもいいというわけではありません。きちんとしたエビデンス(科学的根拠)のあるものを選んで摂る方がいいでしょうね。例えば、ヨーグルトなら乳酸菌の名前がしっかり表示されていて、その乳酸菌の機能がちゃんと調べられているものを選ぶことが重要です」
たとえば、数多ある乳酸菌の中でも免疫を活性化する代表選手に挙げられるのはR-1乳酸菌だが、この乳酸菌で本当に免疫は上がるのだろうか。
「山形県舟形町と佐賀県有田町で実施した試験ではR-1乳酸菌を摂取した人の方がNK活性が増強され風邪をひきにくくなったという結果が出ています。また、NK活性が低い人ほどちゃんと上がるという臨床試験の報告もあります。免疫が高ければ新型コロナウイルスに感染したとしても肺炎にならずにただの風邪で済むかもしれません。自然免疫が高ければ獲得免疫が活性化する準備がすぐに整うので、感染を完全には防げなくても罹りにくく、治りやすくなります。だから、日頃から意識して生活することで自然免疫を上げ、様々な感染症に罹りにくくしておくことが大切なのです」
もし、罹ったら無理をしないで休むこと。感染をできるだけ広げないためにも休むのは大事なことなのだ。