著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

絶望の中でも援助したい 終末期患者を看護するスタッフの思い

公開日: 更新日:

「命はいつ果てるか分からない。そこに命の神秘さがある」

 どなたかが言った言葉があります。

 だいぶ前のお話です。がん病棟には40人ほどの入院患者がいて、終末期となって重症で亡くなりそうな方が常時、数人いらっしゃいました。

 Gさんは収縮期血圧が70㎜Hg台の状況が数日続き、いつ呼吸が止まってもおかしくない状態でした。その日の夕方は、準夜勤務で出勤してきたB看護師がGさんの担当になりました。日勤の看護師からの申し送りは「Gさんは、血圧70くらいだったのが午後から60台に下がりました。呼びかけには答えます」というものでした。それを受けたB看護師は、私の顔を見て言いました。

「先生、今日は帰らないわよね。医局にいてね。すぐ呼ぶから」

 夜8時ごろになってGさんの容体は悪化し、血圧は50以下まで低下しました。私は病室に駆け付け、ご臨終を告げたのが9時10分でした。泣き崩れる奥さんを、B看護師は自分も一緒に泣きながら支えていました。10時30分に家族が全員集まり、私は病気のことと経過を説明しました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希はロッテの「足枷」だった…いなくなってFA石川柊太の入団がもたらす“これだけのメリット”

  2. 2

    絶対守護神マルティネス「巨人入り」急浮上の舞台裏…米敏腕記者が「2年24億円で合意間近」と

  3. 3

    フジテレビが2番組を終了させダウンタウン松本人志に「NO」を突き付けたワケ…日テレとは異なる対応

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  5. 5

    米倉涼子「ドクターX」興収30億円でも満島ひかりが阻む"興収女王"の座…期待値の高さから落胆の声も

  1. 6

    立花孝志氏が大阪・泉大津市長選で惨敗…有権者の投票行動を後押しした「お笑いみたいな噂」

  2. 7

    佐々木朗希の「独りよがりの石頭」を球団OB指摘…ダルやイチローが争奪戦参戦でも説得は苦戦必至

  3. 8

    安倍昭恵氏が石破外交“切り札”に? 米トランプ次期大統領との会談模索に「私人」を担ぎ出す情けなさ

  4. 9

    安倍昭恵さん×トランプ夫妻「夕食会」の舞台裏…永田町で飛び交う臆測と“パイプ役”の名前

  5. 10

    M-1グランプリ審査員は“完璧な布陣”…ますます高まる「松本人志不要論」