「私、食道がんと言われた」ケンカ別れした娘にメールを送った
ある地方の田舎で育ったDさん(56歳・女性)は、高校生の頃から「人間ってなんだろう」「命ってなんだろう」などと考えることが好きでした。そして、東京のある大学の哲学科に進学しました。
しかし、大学ではバンドとアルバイトに明け暮れる日々でした。それでも卒業できて、建設会社に就職。面接試験では、「あなたは哲学科卒業ですか。最も役に立たない科ですね」と言われ、思わず「はい」と返事をしてその後はしどろもどろになってしまい、「この会社にも入れてもらえないな」と思ったのに採用されたのが不思議だったそうです。その会社の経理を担当してすでに30年がたち、今は課長です。
Dさんはすでに両親を亡くしていて、結婚して5年後に離婚を経験し、1人で娘を育ててきました。その娘は美容師になりましたが、Dさんとは性格や好みが違っているためよくケンカをしたといいます。結局、ささいなことで口論したことをきっかけに娘は家を出て、今はメールでの連絡だけになっているそうです。
Dさんは喫煙と飲酒の習慣があります。たばこは1日20本を約30年間、お酒は毎日ひとり晩酌を続けてきました。1カ月前から食べた物が胸につっかえる感じがあり、ちょうど行われた会社の健診を受けると、内視鏡検査で食道がんが見つかりました。