著者のコラム一覧
小堀鷗一郎医師

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

「生かす医療」を切り替えるターニングポイントがある

公開日: 更新日:

 入院生活は穏やかなものではなかった。拘束された状態で、点滴の針は抜くし、暴れて物を投げる。息子は施設入居を希望したが、向精神薬を使用している患者は受け入れられなかった。

「そこで私が、自宅へ帰して訪問診療という選択肢もあると提案したら、担当の医師は『同じことが起きる。医者の良心に反する』と応じなかった。これは救命・根治・延命を考えた立派な答えです。しかし、ここがターニングポイントでした。それから6カ月間、彼は鎮静薬でこんこんと眠り続けて亡くなった。その半年間が彼にとって何であったか。もちろん家に帰っていたらすぐに死んだかもしれないし、もしかしたらまた私の来訪を楽しみにする生活を送っていたかもしれない。僕が言えるのは、生かす医療と死なせる医療にはターニングポイントがあり、それを意識して患者に関わらなければならないのだろうということです」

 どう生きてどう死ぬか。それは患者の側にも求められている覚悟だ。

【連載】死なせる医療 訪問診療医が立ち会った人生の最期

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  2. 2

    下半身醜聞・小林夢果の「剛毛すぎる強心臓」…渦中にいながら師匠譲りの強メンタルで上位浮上

  3. 3

    協会肝いりゲームアプリ頓挫の“張本人”は小林浩美会長…計画性ゼロの見切り発車で現場大混乱

  4. 4

    長山藍子のおかげでわかった両眼のがんを極秘手術

  5. 5

    「ホラッチョ!」「嘘つき!」とヤジられ言葉に詰まり、警察に通報…立花孝志はミルクティーが手放せず

  1. 6

    フジテレビの資金繰りに黄信号…9割超もの広告スポンサー離脱、CM再開も見通し立たず

  2. 7

    なぜ姉妹曲「2億4千万の瞳」と売り上げで3倍もの差がついてしまったのか

  3. 8

    備蓄米放出でもコメ高騰は抑えられない!「コシヒカリ」応札集中確実…得をするのは自民の“大票田”のみ【上位10品目リスト付き】

  4. 9

    「あの無口な少年が…」佐野海舟の下半身醜聞に母校関係者は絶句、その意外すぎる評判

  5. 10

    高石あかりって誰?→「御上先生」で知名度爆上がり 次の次の朝ドラヒロインの魅力は「アポロの歌」でも“予習”可能